2013年4月17日水曜日

愚痴とかなんとか5:乳がんの特徴

「標準治療」とは?、の続きを書いてないので、乳がんになった方や詳しい方以外は、前回のエントリーの最後にまとめて書いた病理診断の結果の意味がまったく意味不明だと思うが、その中でもちょっと書いたOncotype DXをなぜ受けたのかと、すでに一部がスタートしているホルモン療法に関連して悩んでいることなどを、次回の診察までに自分の中できちんとまとめておきたいと考えている。

その理由は、"More"以降に書いておくが、Oncotype DXの結果によって、ボンボンの元から離れることを決めたから。希望としては離れたいのだが、まだ結論が出てないので、なんとも言えないものの、別にボンボンが嫌いになったわけでもない。むしろ、普段自分の回りにはいないタイプの人なので、面白くて好きなんですけど(笑)。

今日は、乳がんという「がん」の特徴に関して、ちょっと書いてみたい。
このがんの特徴がわかると、私がなぜ今悩むのかが、少しは伝わるのではないかと思う。

多くの人が、今見えている「がんの腫瘍」を取り除けばそれで悪いところはなくなったと理解されるのではないかと思うが、実はそうではない。
他のがんに関しての知識が私にはあまりないので、乳がん以外にはわからないのだが、基本的に乳がんは乳房だけの話ではなく、「全身病」として捉えるのが最近の考え方である。

以前、乳がんの手術というのは、初期であればがんが乳房とその付近にとどまっているという考え方のもと、乳房だけでなく胸筋までを切除する術式が選択されてきたが、この術式にて手術を行っても、再発や転移などが大きく減少したわけではなかった。比較的初期の段階と見えても、すでにがん細胞はリンパ管や血管などに入り込んでいる、つまり、転移が始まっている可能性があるというわけである。そのために、現在の乳がんにおける外科的手術は、できるだけがんを(取り残しなく)小さく切り取るという方向にある。がんは小さく取って、すでに体内に始まっているかもしれない転移を食い止めるという、全身療法に主軸が置かれるようになっている。

ただし、転移しない乳がんというのもある。乳がんの中でも「非浸潤」と呼ばれるものは、乳管や小葉の細胞膜内にとどまっている状態のため、理論上転移することはなく、がんさえ取りきれれば「治る乳がん」と言われている。しかし、非浸潤の状態で見つかるのは現在乳がん全体の数%〜十数%程度とされており(正確なデータがないのでよくわからん……)、ほとんどの乳がんは、「浸潤性」と呼ばれる、がん細胞が乳管や小葉を包む膜を突き破って広がり、周辺組織に広がっている(この状態を浸潤と呼ぶ)状態で発見される。この状態になるとしこりを形成しやすくなるため、自己発見されることもある。そして、その浸潤域がどんなに小さくても、がん細胞は血管やリンパ管内へ入り込める状態であることから、すでに目には見えない全身への微小転移は始まっている可能性があると考えられている。

現在、すべての浸潤性乳がんは、非浸潤を経て浸潤性に移行すると考えられている。乳がん検診が行われる理由は、乳がんを1つでも多く非浸潤の状態で発見することでもある。つまり、乳がん検診で発見されるもっともラッキーな例とは、マンモグラフィーやエコーのみで発見できる、小さな非浸潤の乳がんで、しこりはまったく触れないことも多い。そして、この状態の乳がんは病期(ステージ)0となる。

もちろん、浸潤性乳がんのすべてが再発・遠隔転移を起こすわけではない。早期乳がんとよばれる、病期(ステージ)1の乳がんであれば、浸潤しているとはいえ腫瘍の大きさは2cm以下であり、それほど大きな範囲ではなく、リンパ節への転移もない。つまり、まだ転移が本格的に始まっていない可能性が大きく、それが生存率にも見て取れる。だが、腫瘍の大きさが小さいから必ずしも転移が始まっていないとは言えないし、腫瘍の大きさが大きいから必ずしも転移が始まっているとも言えない、そして、どちらなのかは誰にもわからない、というのがこの乳がんというがん最大の特徴なのだ。

だから、患者は悩む。どの全身治療をすれば、私の乳がんは”絶対”に再発したり、転移したりしないの?と。しかし、現状でできる限りの全身治療を行っても行わなくても、結果として再発しない人も転移しない人もいるし、再発する人も転移する人もいる。そして、それが現実だ。どんな治療を上乗せしても、生存率が100%にならないという現実に、正直なところげんなりする。もちろん、治療を上乗せすることで、ある程度の生存率は上がるけど(ただし、治療が効く効かないの見極めも大切なものの)、そもそも健康な人の生存率がつねに100%であるとすれば(ってわけでもないけど)、どうやってもそこには届かない生存率を抱えたまま生きるということは、ストレス以外になにものでもない。

これから私が受ける全身療法とは、すでに始まっているかもしれない、再発や微小転移を食い止めるための治療とも言える。そして、どのような治療を行うかは、TNM分類による病期はもちろんだが、術後の病理診断の結果により、サブタイプと呼ばれる型が決まり、治療方針が導き出される。ここまでの全身療法までを含めて、乳がんの初期治療となる。乳がんの初期治療を行えるのは、当たり前だが一生にたったの一度だけで、二度目はない。悔いのない治療をすべて受けきるために、私は真剣に悩んでいる。だから、どんな治療を受けるかを最終的に決めるために、標準治療ではない、遺伝子検査のOncotype DXを最終的に受けることにした。

次は、「標準治療」とは?の続きとして、乳がんのサブタイプとOncotype DXについて続けて書いてみたいと思う。放射線治療の話も。

次の診察が終わり、放射線治療を受けたあとは、診断を受けたクリニックに戻って治療を進め、1年に1回の検診だけを大学病院で行う予定なので、それまでに不明に思っていることは、すべて解消しておきたい。わからなかったり、納得がいかなかったら、これこそセカンドオピニオン!ですな。1度ぐらいは、セカンドオピニオンを聞きに行ってみたいんですが、今までの治療に関しては、特に疑問に思ったり、本当にこれでいいの?っていうこともなかったので、そのまま今の治療を続けてるって感じなのです。

あ、クリニックに戻るのは転院ではなくて、ボンボンが嫌いになったわけでもなくて(笑)、前回の診察の際に、あまりにも患者と時間に追われて疲れてるボンボンを見たのと、ボンボンからも●●先生のところに通った方が時間に融通が効くし、うち(大学病院)よりも検診用の設備がいいからと勧められたからだ。これは本当の話で、エコー機材とか、絶対にクリニックの方がいいし、先生の腕もいい。実際、ボンボンとこのクリニックの先生の間には、きちんとしたパイプがあるのも知っている。例えば、ボンボンから、クリニックの先生にマンモトーム生検(吸引ができる針を使った生検のこと。マンモグラフィーなどでしか確認できない、小さな病巣の生検をするのに適している)依頼していることも知ってるので、「それがいいですね」と了解し、医療連携手帳を使うことに。

ただ、私にとって立地に関しては、クリニックよりも大学病院の方が通いやすいんだよね。会社からも、自宅からも。でも、ボンボンの外来は基本的に週2回しかなくて、日によっては激混みなので、時間に融通が効くクリニックの方が私にとっては都合がよいし、ボンボンにはたくさん臨床や手術、化学療法を重ねて、もっと患者から信頼される医師になって、ぜひ出世していただきたいのであります(たぶん無理だけど)。次にボンボンの治療を受けることになるなら、それは、私の乳がんが再発した時や転移した時になるはずなので、できればこの先、治療という形では顔を合わせないですみますように。

ちなみに、診断してくれたクリニックの先生は私をボンボンの元に送り出す際に、恐らく術後はホルモン療法になるだろうから、そうなったら戻っておいでと言ってくださっていた。あと、たぶん、クリニックの先生は私みたいな人と話すのが好きっぽいので(仕事柄、大体わかる)。すでに診断の時から、他の病院の話など、かなりブラックなことを聞いていたので、きっと乳がんに関する面白い話をいろいろ聞けそうだ。もちろん、なぜボンボン(事前の話だと、この大学病院でナンバー2の腕利きって聞いてたんだが、本当なのか未だ不明)を勧めたのかも聞きたいし、それはそれで、ちょっと楽しみ。

実は、Oncotype DXを私に初めに勧めたのは、このクリニックの先生なのだ。診断時に、もしも術後の病理結果が対象になるなら(恐らくなるだろうから)、値は張るけども年齢のこともあるし、受けた方がいいと言われていた。私は、乳がんにはなったものの、自分が信頼をしている先生達の間を行ったり来たりできる、恵まれた患者なのかもしれないですね。

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