2013年3月6日水曜日

「標準治療」とは1:TNM分類

乳がんだけでなく、がんの治療の基本には「標準治療」が使われる。標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者に行われることが推奨される治療の総称だ。

よく、「最先端の治療」などがメディアで紹介されることがあるが、最先端だから最も優れているというわけではない。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明されれば、「標準治療」として組み込まれることになるが、それまでは標準治療とはみなされない。

もちろん、標準治療以外の方法を選ぶこともできるが、強い理由がない限りは、基本的に標準治療を選ぶことになるだろう。乳がんの場合の標準治療は、病期(ステージ)にもよるが大抵は次の3つがセットになる。

・外科的手術
・放射線治療
・ホルモン療法、化学療法、分子標的療法
(上記の3つは全身療法であり、これらの内容はがん細胞増殖に関係する因子の出現や、がんの種類によって変わる)


これらの治療に入る前に、まずは病期(ステージ)を確定しなければ、治療は進められない。すでにいくつか病期(ステージ)に関する内容をエントリー内で書いてきたが、改めてその内容を記してみたい。

・TNM分類

乳がんの「進行度」の指標、つまりその人の乳がんがまだ早い状態なのか、もう手後れに近い状態なのかをいくつかの段階に分けて示す指標が「病期(ステージ)」だ。手術前の臨床診断結果で病期(ステージ)を推定しておき、手術後の病理診断結果を持って確定することが多い。そして、病期(ステージ)を示す際に1番よく使われる分類が「TNM分類」である。

Tとは乳がんの腫瘤(Tumor)のことで、Nはリンパ節(Node)の転移のこと、Mは遠隔部(肺、骨など)の転移(Metastasis)のこと。そしてこのT、N、Mの組み合わせにより、病気の進行度を表す。

・TはT0~T4までの5段階
・NはN0~N3までの5段階
・MはM0とM1の2段階

前回のエントリーで「T1N0M0=ステージ1」だとか「T3N2M0=ステージ3」だとかとちょっと書いたんだけど、次の表を見てもらえば、病期(ステージ)が同じでも、TNMの組み合わせは異なることがあるというのが、わかってもらえると思う。乳がんでは、このTNMを使って病期(ステージ)を表すことがほとんどだ。ちなみに、手術後の病理診断結果によって確定したTNM分類は、Tの前に小文字のp(pathologic=病理学的)を入れて、pT1N0M0などと表記することもあるらしい(NCCN=全米がん情報ネットワークのガイドラインより)。



実際のところ、ほんの1ヶ月前までは、まさか自分ががんになるなんて、思ったことはなかった。そのうちあるかも、というのはあったけど、現実味を帯びた考えではなかった。そもそも、女性の20~16人に1人の割合で乳がんは発症するといわれているので、生涯乳がんにならない女性の方が多いのだから。
なのに、「なぜ私が?」というのは、私もそうだし、恐らく乳がんになった誰もが思っていることだろう。
知人などに、乳がんの話をすると、「初期なら乳房を手術しなくても大丈夫なんでしょ?」といわれることがある。私も実際、そんな感じだった。腹腔鏡みたいな手術とかもできるんじゃないの?とか、薬である程度治ったりするんじゃないのかって。それは、まったく違っていた。徹底的に違っていたのだ。
次回からは数回に分けて、標準治療のそれぞれについて、今回説明した病期(ステージ)と乳がんの種類、がん細胞の増殖などに関連する因子などとともに、紐解いていく。

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