2014年1月7日火曜日

ホルモン療法で使われる薬剤の一般名と商品名

「標準治療とは」の続きを書こうと思いつつ、まずはホルモン療法(内分泌療法)で使用する薬剤についてのちょっとしたメモを先に。

乳がんになってから初めて、医薬品には「一般名」と「商品名」があるということを知った。医薬品には薬効成分となる化学物質の名前や分類、国際的に使用できるとして定められた一般名 (generic name) 、そして会社の独自性を表し付けられた商品名としての名前がある。

乳がんのホルモン療法で利用される薬剤には、大きく分けて4種類(そのうち黄体ホルモン薬は、ホルモン療法で使用する他の薬剤が効かなくなってしまった進行再発乳がんで使われることが多い)あり、それぞれの分類においてもいくつかの種類がある。以下は、文頭の●は分類、青字は一般名、赤字は商品名例(先発の薬剤にしておいた)。あと、英語も知っておくと実は便利なので、一応併記しておく。

●LH-RHアゴニスト製剤(LH-RH agonist)
酢酸ゴセレリン ゾラデックス
Goserelin Acetate Zoladex

酢酸リュープロレリン リュープリン
Leuprorelin Acetate Leuplin
●アロマターゼ阻害薬(Aromatase Inhibitor)
アナストロゾール アリミデックス
Anastrozole Arimidex

エキセメスタン アロマシン
Exemestane Aromasin

レトロゾール フェマーラ
Letrozole Femara

●抗エストロゲン薬(Selective Estrogen Receptor Modulator/SERM)
タモキシフェン ノルバデックス
Tamoxifen/TAM Nolvadex

トレミフェン フェアストン
Toremifene/TOR Fareston

●黄体ホルモン薬(Progestogen)
酢酸メドロキシプロゲステロン ヒスロンH
Medroxyprogesterone Acetate  Hysron-H


一般名はどのように使われるのか
一般名をよく目にする機会として挙げられるのが処方箋だ。現在、同じ成分の医薬品であればどのメーカーの商品を調剤しても良いシステムとして一般名処方がある。これは、例えば処方箋に「ノルバデックス」と商品名が書かれている場合、薬局は基本的に「ノルバデックス」を渡すことが多い(最近はジェネリックの希望を訊くことも多いようだけど)。ただし、処方箋に「タモキシフェン」と成分名(一般名)が書かれていれば、一般名処方として、どの銘柄の薬を渡しても良いことになっている。

この一般名処方によって、日本ではジェネリック医薬品の普及率を上げようとしており、メリットとして、医師は処方箋にて一般名処方をすることで保険診療点数を加算でき、薬局側はどのジェネリック薬品も調剤することができるので在庫を減らすことができ、患者側としてもジェネリックを容易に選択することで薬代を安くできることなどが挙げられる。一方デメリットとしては、医師が意図していない薬剤を調剤する可能性や、薬局側としてはどの薬剤を調合したかという医師へのフィードバックが必要になること、患者側としてはジェネリック薬品によって先発薬品との効果に違いが出る可能性があるということなどが挙げられる。

そして、一般名が最も威力を発揮すると個人的に思っているのは検索だ。商品名で検索すると多くは患者さんのBlogなどがヒットしやすいのだが、一般名は全世界共通で使われているもの。いわゆる「情報」を検索したい際には、一般名を使った方が、知りたい情報にたどり着きやすくなり、効率よい検索ができるように感じている。


乳がんになってすぐは、ここで取り上げている医薬品の一般名と商品名にまでは気が回っていなかったのですが、まずわからなかった用語として「ER」「PgR」「HER2」を調べたことを覚えています。針生検みたいなものは、字面からなんとなくわかるんですが、こういうアルファベット表記や、カタカナなどで省略されると、意味にたどり着くのにワンクッション必要になるので、正直面倒だなぁと思ったことを覚えています(このあたりは私の性格的な話ですけど)。

あと、ぱっと見で「はぁ?」と思ったのは「トリネガ」、いわゆる「トリプルネガティブ(Triple Negative Breast Cancer、TNBC)」のことなのですが、最初この単語を見たときは、本当に何を指しているのかまったくわかりませんでした。「これって、『トリガー』の間違いとか~??」みたいなことを思っていたんですが(それも全然ちげーよ!)、その答えは予期せぬものでした。医療関係者の方も使っているものなのかもしれませんが、乳がんになった当初に乳がん患者さんのBlogで「私はトリネガ」「トリネガさん」みたいな使い方(そして「ホルモンヌ」もよく見ますが……それも、うーむ……)をされているのを見たような気がします(最近調べていないのでおぼろげ……)。つか、そもそも「トリネガ」が「トリガー」だったとしたら、まじで意味わからないので、それをまず思いつく私が一番どうかしてると思いますけどー!

病気になってすぐというのは、知識もそれほどないということが多いような気がしますので、略語などから用語を調べるということも自分の病気を知る一環にはなるのかもしれません。それでも、知識を得る際は、まずは正しい情報にあたることが重要であるとも思います。そういった意味では、正しい用語を知っておくというのは大切なことではないでしょうか。

あと、商品名には間違いやすいものもあるようです。こんな通達(PDFです)を見て、どちらも、長期処方されることが多い薬剤のような気がするので、どちらに間違えられても大変だわ……と思った次第。あと、ホルモン療法とは関係ないのですが、トラスツズマブよりは、ハーセプチンの方が音はかわいい感じがする(はぁ?)。

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