2013年6月12日水曜日

乳がんです。と言われたら2:情報を集める



「私はどうやら本当に乳がんみたい。
 乳がんにはいろいろな治療方法があると言われたけれど、
 これから、いったい、どうすればいいのだろう……?
 っていうか、私、死ぬの?!」

確定診断によって告知を受けた直後は、かなり混乱して、何から手を付けていいのかわからないかもしれません。毎晩、突然恐怖に襲われ、眠れない日々を送るかもしれません。

私もそうでした。

診断された際に説明があったかもしれませんが、乳がんというのは、昨日今日できるものではなく、1つのがん細胞から1センチの大きさのしこりになるまでに、7~8年かかると言われています(もちろん、例外もあるようですが)。

これは細胞分裂の速度から言われていることなのですが、乳がんの進行というのは、実際はかなりゆっくりです。診断とともに、検査や手術などの予定が入るかもしれませんが、これらすべてが診断当日には行われないものなので、考える時間はまだあるはずです。まずは、乳がんというがんに関する知識を得たり、今後のことを考えてみたりしましょう。

  • 乳がんに関する情報を集める
  • 治療をどこで受けるかを決める
  • 経済状況を確認する

今回はどうやって情報を集めればいいのか、私が個人的に「情報」として参考にしているサイトを2つ紹介します。

乳がんに関する情報を集める

「これから、いったい、私はどうすればいい?」と思うのは、当然のことなんじゃないかと思いますし、「落ち着いて」と言われても、そんな簡単に落ち着けるものではないはずです。そして、「乳がん」という単語がくるくると頭の中で回っているかもしれませんが、この際は「乳がん」という狭い範囲(とは言っても、乳がんだけにしぼっても、範囲はかなり広いんですけど)だけから物事を見るのではなく、まずは「がん」という病気そのものを取り巻く情報を知り、さらに「乳がん」を考えるというアプローチをとってみると、より理解が深まるような気がします。

がん情報サービス
個人的な観点ですが、日本で一番「がん」に関する情報が集まっているかつ、がんと診断されたら最初に勧めたいと思うのは、独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターの「がん情報サービス」です。

がん情報サービスには、がんと診断された方が必要とする情報が多角的にそろっています。それぞれの内容もかなりわかりやすいですし、何よりすべて無料で閲覧できるというのは利点です。さらに、冊子として配布されているPDFデータもダウンロードできるので、必要に応じて印刷して読むというのもよいと思います。

また、「がんと付き合う」のカテゴリーは、読み物としても充実しており、がんになった患者だけでなく、その家族や周囲の方にも有用だと思える内容がそろっています。がんになっても普通に働きながら治療を続けるというのは、思っていた以上に大変なことだと身を以て実感しています。「がんと共に働き、生きる」ことは、病気にはなってしまったものの、この年まで適当に生きてきた私にとって、これまでの人生とこの先の人生を深く見つめなおす機会でもあると思っています。

また、ちょっとマニアックにはなりますが、医療関係者向けにに公開しているグラフや数値などの統計データも見てみると結構興味深いです。このあたりは、普通の人にはあまり関係ないですね……。

乳がんに関する情報ももちろんありますので、まずは、ここから読んでみるのもいいかもしれません。


患者さんのための乳がん診療ガイドライン
そして、「乳がん」そのものに関しては、日本乳癌学会がまとめている「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」が最適だと思っています。書籍版もありますが、Webサイトでもほぼ同じものが閲覧できるようになっています。こちらは、2012年に発行されたものなので、比較的内容も新しく、乳がんになったら誰もが思うであろう疑問や不安などがQ&A形式にてまとめられており、非常に妥当な答えが書いてあります。文字だけでは理解しにくい箇所には、図版もふんだんに入っているので、理解しやすい体裁ではないでしょうか。

また、このガイドラインは、乳がんという病気の理解のために有用ですが、同時にこの先に行われる治療のおおまかな道しるべにもなるものです。さらに、主治医との治療を相談する際の根拠とするという使い方もできるでしょう。たとえば、どこかで聞きかじった話を主治医にしても、信ぴょう性がない話を医療従事者ではない患者がしているということで、あまり聞く耳を持ってくれないかもしれません。しかし、「『患者さんのための乳がんガイドライン』では、このような説明があったのですが、他のサイトでこの部分がこうだという話がありました。いったい、どちらが正しいのでしょうか?」といった感じに、ガイドラインを介して、聞きにくいことを聞きやすくするために使うということも考えられます。

個人的にこのガイドラインは、乳がんと診断されたときから今に至るまで、その節目節目にWebサイトにアクセスして、読んでいるような気がする、大切な1冊です。


informationとjournal、そしてidea

個人のblogを書いている私が、非常に矛盾した話をして申し訳ないのですが、個人的な戒めもかねてあえて書くと、個人のblogに書いてあることは、informationすなわち、情報ではないと思っています。私のblogも同じです。このblogに書いてあることは、情報ではなく、単なる記録とまとめで、だれかのためではなく、すべては自己満足のためです(ただし、私を知っている人に向けては書いているつもりです。その理由は後述)。

情報とは、辞書を引くと「ある特定の目的について、適切な判断を下したり、行動の意思決定をするために役立つ資料や知識」と意味が記されています。今回紹介した2つのサイトは、多くの事実や医学的なエビデンスをもとにまとめられており、その妥当性も多数の専門家による客観的な検討によって裏付けられるなど、長い過程を経て公開されているものになるので、上記の「情報」の意味を満たしていると考えられるはずです。しかし、個人のblogというのは、そこからはちょっとずれているのではないかと思うのです。あくまでも個人の視点や体験に基づいた内容というのは、どれだけ「情報」の体裁であったとしても、それは主観性が強く、属人的で、客観性には欠けるのかなと。


なので、いろいろと考えてみたのですが、個人のblogというのは、上記の客観性などの観点から、informationというよりも、journal(日記)に相当するものなのではないかと。また、そこに書いてあったことが、どなたかの行動のきかっかけになったというのなら、たまたまその方にとって「idea」がそこにあったということではないかと思うのです。

なんだか否定的な話を書いてしまいましたが、同じ病気の方が書いているblogの日記や記録の内容を読むと、この先の治療が不安になることも多いと思います。とはいうものの、治療に関してblogを書くということは、書くことがある(順調に進んでいない)からという方もいて、そういった内容の文章に自分を重ね合わせて読むことで不安になってしまう……というあまりよくない循環が生まれることがあります(私もそうでした)。

そして、その背後には、blogに書くことがない(治療が順調に進んでいる)、乳がん患者さんがたくさんいるとも思うのです。たぶん、順調に治療が進んでいる乳がん患者さんというのは、表に出てきにくいものでもあるでしょう。もちろん、blogでは病気のことだけでなく、明るい日常を記されている患者さんもたくさんいらっしゃいますので、個人blogが不安をあおるだけのものではないことも事実です。ただ、この病気は、自分自身で、絶えず襲ってくる不安とどう向き合い、どうマネジメントするかということも実は重要なんじゃないかと最近は思うようになりました。そして、ちょっと視点を変えるだけで、不安を減らすことはできるのではないでしょうか。

情報は、自分にとって本当に有用であり、必要なものを選んでこそ、価値が生まれます。

そして、何よりも大切なのは、
その情報をどう選び、使うのかを決めるのは、あなただということです。

じゃあ、なんでblogを書いてるのよ、というのはMore以降で。単なる、言い訳ですが(笑)。



あんた、個人blogをdeathり気味なのに、なんでblogを書いてるのよ、というのはここでもちょっと書いているとおりです。

そして、このblogを書き始めた頃、私の乳がんに関する知識は、ほぼ「ゼロ」でした。

もちろん、そういう病気が存在していることは知っていましたが、どんな治療が行われているかなどは、全く知りませんでした。そして、自覚症状がなく、検診で乳がんが発見される確率というのが、わずか0.2%程度という現状を知り、非常に驚きました。私はその0.2%に入ったのかと。病気にならなければ、そんなことは知らなかったですし、実際に乳がんにならなければ、乳がんについても何も知らないままだったと思います。

私がこのblogを私が書き始めたのは2013年2月の頭で、検診を受けて精密検査になった時期です。まだ、確定診断は出ていませんでしたが、その頃から、なぜか自分は乳がんなんじゃないかという予感がして(普段はこういった予感めいたことは全然ないんですが)、この先の自分のために「記録」を残しておこうと思ったのです。

そして、乳がんになったとお知らせした知り合いなどに、いちいち現状を話すのも面倒ですし、(それを聞きたい人もいるかわからないものの)近況代わりに読んでもらいたいと思って始めました。それに加えて、治療に関してどういった情報を調べたのか、それをもとにどんな選択プロセスがあったのか、最終的な決断に至るまでの道筋などを、自分自身で後から見直すために書いています。

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