2013年5月15日水曜日

乳がんです。と言われたら1:とりあえず質問してみる

「残念ながら、乳がんです」

ある程度覚悟していたかもしれないし、そんなわけないしと思っていたかもしれません。
いずれにせよ、15人に1人の「1人側」になってしまうこと、それが告知です。
「1人側」にぜひ入りたかった人というのは、おそらくいないことでしょう。
もちろん、「14人側」に入りたかったですよね。
でも、残念ながら「1人側」に入ってしまったということです。

告知をどのように受け止めればいいのか、それは私にもわかりません。
そもそも、正しい告知の受け止め方というのはあるのでしょうか?

私のように1人で告知を聞く人もいれば、家族やパートナー、友人と一緒に告知を聞く人もいるだろうし、先生がどのように伝えるかで、捉え方や感じ方も変わるでしょう。

頭の中が真っ白になってしまうかもしれないし、涙がこぼれてしまうかもしれません。
今までにないくらいのショックを受けたあげくに、「死」という恐怖が襲ってくるかもしれません。

私も、そうでした。

しかし、私が知っている限り、意外と冷静な人もいます。
もし、告知を受けても、思考回路が大丈夫そうな感じだったら、次の2つのことを担当医に聞いてみましょう。ただし、そんな簡単に冷静になれるものではないのも事実なので、この先の検査や診察のときに、日を改めて質問することもできるでしょう。

  • 私は本当に乳がんなのですか?
  • どのような治療が行われるのですか?

私は本当に乳がんなのですか?


実は乳がんには、それなりの割合で誤診があるといわれています。
なので、担当医に乳がんという確定診断にいたった経緯をもう一度聞いてみましょう。

マンモグラフィーやエコーの画像による診断はもちろん、必ず細胞や組織を取って病理診断もしていると思いますので、確定診断にいたる経緯があるはずです。その経緯を教えてもらい、疑問に思うところがあるのなら質問してみましょう。

担当医の自分の乳がんに対する診断がどれだけ確実なのかを知ることで、自分はがんなのだと確信を持てます。すると、腹がすわり、落ち着いてくるかもしれません。もし、ここで曖昧なことを言われたら、その診断に疑問を持ったほうがいいのかもしれません。

どのような治療が行われるのですか?


やはり自分は乳がんだという確信を持てたなら、次は今後の治療がどうなるのかを聞いてみましょう。もちろん、この時点では詳しい検査はしていないので、担当医も正確なことは言えないはずです。ただし、おおまかな治療方針というのは、この時点でもある程度は話してくれるのではないかと思います。

沢山の選択肢が提示されるかもしれません。
治療の内容も、初めて聞くことでよくわからないかもしれません。
どれも大変そうで、また恐怖がぶり返してくるかもしれません。

とはいえ、実はここでいろいろな治療方針が提示されるということは、
そして、今後その治療を進められるということは、自分の乳がんに対して

  • 治療方法が存在しているということ
  • その治療を試せる「体」と、それを支える「体力」があるということ
  • 治療費を支払える経済力があるということ

なのです。

発見された時点でとても状態が悪ければ、そもそも治療ができないでしょうし、
病気が進むことで、治療方法がなくなってしまうかもしれないでしょう。

治療に耐えられる体と、その体を支える体力がなくなったり、
経済的に困難になってしまったりすれば、治療は続けられなくなってしまうでしょう。

病気になってしまっても、これから治療が始められるというのは、
この病気に対する手だてがある状態だということ。
つまり、患者としては、ちょっとだけ幸せな状態だと思えるんじゃないかと。

(もちろん、病気にならないのが一番いいんですけどね)

そして、何よりも大切なのは
乳がんになったからといって、今すぐには死なないということです。


私は1人で告知を受けた派なのですが(そんな派閥はそもそもないですけど!)、自分でも意外なことに、冷静に聞き入れていました。

もちろん「乳がんです」という言葉には動揺し、目の前の風景がゆがむと共に、初めて味わう「死」の恐怖が襲ってきましたが、泣いたり、取り乱したりすることはありませんでした。

泣いたらいやだなぁと思って、ミニタオルやらポケットティッシュやらを用意して持って行きましたが、結局使いませんでした(笑)。普段、気はめちゃくちゃ小さいんですけど、どうしてこの時は大丈夫だったのか、今でも不思議です。

精密検査を受けたときに、それなりの覚悟があったからなのなぁと今は思うのですが、自分が乳がんだと先生から聞いて、上で挙げた2つの質問をしました。たぶん、私はこの時、この2つの質問をすることで、

  • 自分ががんであるという確信を持つことで、「がんという病気」を正しく怖がる
  • 自分の未来に起こる可能性として何があるかを知り、「予測できない未来」という不安を減らす

ということを無意識に行っていたのではないかと思うのです。

とは言っても、その当日、クリニックを出てからの記憶はおぼろげで(母に電話したことは覚えてますが)、それなりにショックだったのでしょう。その後、どうやって戻ったのかはおぼえていませんが、仕事が残っていたので会社に戻って深夜まで残務をこなし、翌日は発熱したものの、それでも普通に出社し、上司に泣きながら報告した、という一連の自分の行動を顧みると、実際のところはかなり混乱していたのだろうと推測できますよね。

冷静だったけれども、混乱していた、ということなのかもしれません(そんな状態ってありえんのかしらん??)。

0 件のコメント:

コメントを投稿