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2015年10月19日月曜日

大多数に入るということ

LH-RHアゴニストの最後の注射は今年の5月末だった。
その効果が3ヶ月だとして、効果のキャリーオーバーはどれくらいなんだろうか?

とりあえず、今のところ、生理は戻ってこない。一応、半年生理が来ないというのが閉経の定義らしいけれども、薬剤の効果がどれだけあって、どの時点から生理が来ていないとカウントすればよいのかがわからない。

乳がんと診断された際に、恐らく私の年齢だと、治療によって7割が閉経することになるという話をされた。

私が発病した年齢で乳がんになるのは全体の数パーセント。そして、組織型も全体の数パーセントとなる特殊型。だったら、生理だって少ない方に入ったっていいじゃないかと、勝手に思ってみたけれども、これだけは大多数に入りそうな気がする。

相変わらず、ホットフラッシュと足と手のこわばりはあるので、更年期症状は続いている。不眠は眠剤でしのいでいる。集中力の低下も、ある程度薬剤と環境調整で緩和できている。

そして、この不安はなんなんだろう。


2015年7月11日土曜日

PREDICTというツール

今年のザンクトガレンコンセンサスの内容を読んでいると、予後予測ツールとして、Oncotype DXなどの他に、これまで見かけなかったツール名(というのだろうか?)的なものをいくつか見かけた。

そのうちの1つがPREDICTと呼ばれるもので、いったいどんなツールなんだろう?と検索をしてみるとちょっと興味深い記事を発見。

乳がんの「その後」を予測するツール「プレディクト(PREDICT)」、予測の正確性は?

この記事の元になっている論文のabstractは、PubMedから読めます。

PREDICTとはイギリスのNHSのサイトで公開されているツールで、ここから実際に使える。

上から年齢、診断状態、腫瘍のサイズ、腫瘍のグレード、リンパ節への転移、ER状態、HER2状態、KI67状態、化学療法の有無とその世代を入力または選択して"Predict Survival"ボタンを押すと、テキストとグラフで5年後、10年後の生存率が表示されるようになっている。

補助療法を行わなかった場合のグラフがデフォルトの生存率で、プラスして、選択した補助療法が生存率をどれだけ上乗せできるのかがわかる。

入力する内容はそれほどないのと、見ればわかる内容だと思うものの、1点だけちょっと謎なのがKi67の選択肢。NegativeとPositiveから選ぶようになっているが、通常、Ki67ってパーセンテージで表現されていることが多いのではないかと。これは説明を読むと、10%以上をPositiveとするようで。

また、chemo(化学療法)のSecondとThirdとは、Secondがアンスラサイクリン系の抗がん剤(第二世代らしい)、Thirdがタキサン系の抗がん剤(第三世代らしい)を意味するよう。

しかし、PREDICTの説明ページを読むと、なるほど、2013年のザンクトガレンコンセンサスで指摘されていたイギリスのNHSでカバーされるようになった多重遺伝子ツールっていうのはOncotype DXなのではないかと。「NICEが最近推奨しているOncotype DX」的な説明が入っているので、そうなんじゃないかなーと。だったら、うらやましいな。

2015年6月18日木曜日

2つの臨床試験が導き出したもの(ザンクトガレン2015)

ザンクトガレン2015のサブタイプの表みたいなの(笑)は、前回、前々回とはちょっと変わってて、その理由は内容を読めばわかるんだけど、とりあえず、大きなトピックとしてはこの記事を読むといいかも!

(PDFです。要会員登録かも←無料で誰でもできます)

散々ぶつぶつ言ってた、閉経前乳がんの内分泌(ホルモン)治療にOFS(Orvarian Function Suppression=卵巣機能抑制)+AI(Aromatase Inhibitor、アロマターゼ阻害薬)を用いるケースに関して詳しく書いてある。今後、これが普通になるのかしら。

2015年6月10日水曜日

術後の検査(2年後:検査&手術病院でのフォローアップ)、放射線治療(フォローアップ5)

すこし時間がたってしまったが、術後2年目の検査と手術病院でのフォローアップ、放射線治療のフォローアップがあった。

前から書いている通り、私は東京都医療連携手帳(がん地域連携クリティカルパス)を使っており、術後のホルモン療法は乳がんを診断してくれたクリニック(連携先)にて管理してもらっている。この連携手帳を使う場合、特に経過が問題ない場合でも、1年に1回連携元となる病院(私の場合は手術病院)に検査結果を持って行き、診察を受ける。

去年はⅠCTPと呼ばれる、骨転移の腫瘍マーカーが基準よりも高くて、冷や汗をかいたけれども、今年はそれも基準内で、マンモグラフィーも超音波も問題なく、クリニックでの検査は無事終了。そこでも、10年間ホルモン療法を続けるとされるのは、どんなリスクがある人なのか、という話を聞くと、まだ決まってないらしいが、再発リスクのベースラインリスクとして用いられているリンパ節への転移など、または受けているならば多重遺伝子診断結果じゃないかという感じの話だった。私の場合は、今の基準だと5年で大丈夫だと思うけど、またその時になってみたら変わるかも、的な感じで。相変わらずよくわからないな〜と思いつつ、診断先生からは「ボンボン先生によろしく!」と。


そして、1年ぶりにボンボンの診察を受ける。今回は拍子抜けするほど診察が時間通りで、逆にビビってしまった。もしや、人気なくなった?とかね。まあ、推察される理由はあるんだけど、そうなのかもと、ちょっと納得してしまった。検査結果も問題ないですね、と一通り確認して「OK」を書き込んでくれ、LH-RHアゴニストは、生理が戻ってきたとしても、2年で終了にしましょうということになった。現状の不眠から始まった適応障害の話をしたところ、たぶん、LH-RHアゴニストの効果が薄れれば、だいぶ体調もよくなるはず、とのことだった。本当にそうであってほしいんだけど……。

そして、連携手帳というものを持って診察を受けに行っているのだが、今はたぶん変わったと思うんだけど、私がいただいている連携手帳の作りがあまりにもちゃち過ぎて、本当にびっくりしている。これは10年使うことになっているんだけど、どう考えてもありえないほどにひどい。紙の質が悪くてペラペラだし、使っているイラストが仰天するほどダサく(たぶん、ワードのクリップアートとか←マジか!)、ボンボン曰く「まあ、3年ぐらいで溶けちゃうんじゃないかと思うんで(←意外と面白いこと言うな!)、溶けたら溶けたでいいですよ〜」ですと。「こっちの病院も忘れないでくださいね」などと、そもそもあなたが私を絶対に忘れているだろうと思うようなことを言いながら、「また来年、元気な姿でお会いしましょう」と送り出してもらった。

その後は、放射線腫瘍科で恒例のフォローアップ。前回は新しい先生(←名前です)が別の科で研修をしているとかで違う先生にバトンタッチされていたので、1年ぶり。でも、たぶん、先生になりたてぐらいから担当してもらっているようなので、いろいろと覚えてくださっている。こちらは、ざっと色素沈着の状態を見て、「もうちょっと、ですね」と、やっぱりまだ少し残っている感じ。あとは、胸の音を聞いて終わり。

「この、放射線治療のフォローアップっていつまで続くんですか?」「一応、5年なんですけど、『お元気ですか?』的なものなので、もう、今の時期になってしまえば、来なくても大丈夫ですよ。放射線治療後に起きる症状が出る時期はほぼ終わってるので」ですと。あとは、先生も暇そうだったので、雑談。全然放射線治療とは関係ない、不眠からはじまった一連の話をして「お医者さんとかもそういうことってあるんですかね」と聞くと、先生の周りではあまり聞かないらしい。「ただ、外科の先生とか、ほんといつ寝てるんだってぐらい忙しそうですけどね〜」と。

2年目も無事終了。はやくLH-RHアゴニストの効果がなくなって、体が楽になりますように!

2015年5月20日水曜日

14 th St. Gallen International Breast Cancer Conference Primary Therapy of Early Breast Cancer, consensus 2015

お待ちかね(?)のザンクトガレンコンセンサスですが、あっさりコンセンサスがPublishされてました。

原文はこちら(PDFです)。

なんかちらっと読んだ感じだと、かなり細かい話になっていて、そして、多重遺伝子診断がもはやいろいろな意味でスタンダードになりつつあり、種類も増えている感じです。詳しくはもう少しちゃんと読んでから書きたいなーと思いつつ、今日はこのあたりで!

アブストラクトだけでもさっくりと翻訳したいものなのですが、その前にアンジーの方もね。

どうでもいいんですけど、アンジーの記事を読んでいると林真理子っぽい感じが鼻に付くというか、さりげなく、イラっとすることが書いてあるんですよね(ただ、それが私にとってイラっとすることであって、必ずしも誰もがイラっとすることなわけではないわけなんで、どうでもいいから早く日本語にしろって感じですな)。


2015年3月6日金曜日

あと1回

そういえば、術後の1年半の検査のことを書いてなかったなーと思いつつ、1年9ヶ月後のリュープリンの注射に行ってきた。3ヶ月前の血液検査の腫瘍マーカーには、なぜかICTP(I型コラーゲンC-テロペプチド、骨転移の目安となるマーカー)の検査結果が入ってなくて、あれー?って感じなんですが、まあ、気にしないでおけばいいかということで、それ以外は非常に健康な感じで。

実は先週の土曜日が3ヶ月目の注射および処方薬をもらう日だったのだが、とにかく起きられず……。体が重くて動けなくなっており、ベッドの中から電話をして「ね、ねつがでちゃいました」と、まるで子供のような嘘を付いて、診察をキャンセルしたとは、診断先生に言えず。メンタルクリニックに通ってる話もしないとと思いつつ、やっぱりできず……。いや、言わないとダメだよなと、次回は術後2年目のガッツリ検査なので、その時には絶対言わないと。でも、言ったところで、「そうなんだ、たいへんだねー」とかで片付けられる気もするけど、それはそれで全然構わなかったりする。診断先生に同情とかは似合わないし、むしろ、そんなことがあったら怖い(笑)。

リュープリンの注射は、そのガッツリ検査の時で終わるらしい。
あと1回で、このくそ高い注射も終わりかと思うと、ちょっとだけ懐具合もよくなりそうで、やっぱりうれしいかも!

で、明日から仕事は休職することにしたので、診断書を持って行く。
いったい、ジョブズ先生はどんな見立てで書くのだろう。
初めて、自分の病名もわかる。
というか、前回の診察のときに「あの、私は本当に病気なんですか?」とか、すっとんきょうな質問をしたところ、いろいろと丁寧に答えてくれたあげくに、「いつでも質問してください」と言われ、ちょっと恥ずかしかった。「私は本当に乳がんなんですか?」とはまた違うんだつーの!

なんとなく、荒れていた部屋をなんとかしたくなって、深夜に洗濯をしてしまった。
あ、寝ないと……今日も睡眠はAパターンですな。


2015年1月12日月曜日

放射線治療(フォローアップ4)

年も明けて、すでに1週間。
なんだかいろいろとあったのだが、書くのも、思い出すのすらも面倒で(←いい加減人生の極み)、とりあえず連休はだらっとした感じで仕事中(結局そうか?)。

その連休に入る前に、放射線治療のフォローアップがあった。
本当は12月の予定だったのだが、新しい先生(←名前)が他科にお勉強に行くとかなんとかで、3カ月ほど留守にするため診察ができないということで、違う先生の予約を取り直してくれていた。

治療時に新しい先生と一緒に担当してくれていた投げやり教授は、すでに退任されているので、もうお会いすることはないのだろう。こうやって月日というのは経っていくものなのだ。

先生は違えど、いつものと同じような診察。特に変わったことはないし、皮膚が冬だから乾燥しやすいぐらいで、あとは特に問題もない感じで、と告げる。どれどれど乳房を見せると、先生曰く、私は色素沈着が残っている方らしい。あまり気にしてなかったんだけど、言われると気になる。

先生「まぁね、お風呂で誰かと一緒になるぐらいならば、たぶん、普通の人には色素沈着はわかりませんよ。私達は治療をしている側なので、わからないと問題なんですけど。あと、乳房がほとんど変形しなくてよかったですね、傷も目立ってないですし」と。
私「いや、ほんと、そうですね。手術前はどうなるのか、外科の先生に説明してもらってもまったくわからなかったんですが、結果はこんな感じで」
やっぱり、ボンボンは腕利きなんだろうか……!?(←まだ疑っている)

術後の乳房は、色素沈着が少し残っている+乾燥しやすい+ちょっと固い、という感じで、傷が痛むみたいなことはありがたいことにない。


てな感じで、また半年後に診察の予約を入れてもらって終わり。次回はまた新しい先生が戻ってくるらしい。

すみません、オチもなんにもないのですが、一応診察記録ということで。
そういえば、今年の乳癌学会は東京での開催だった。
今年こそ、時間が会えば行ってこようかと。でも、もう、ちんぷんかんぷんかも。
そして、そうなるというのが、よいことでもあると思っている。



2014年1月27日月曜日

2013年の乳がん治療費総括

そろそろ確定申告の準備をしなければと思い、医療費をまとめてみた。
そこから乳がんについての治療費を計算してみると、以下のとおり。
投薬も含んでいるので、薬の種類によって多少金額が変動すると思われる。

●治療費
クリニックでの確定診断〜某大学病院受診まで(通院3回)
21,310円

某大学病院への受診〜手術の切除範囲決定まで(通院5回)
46,030円

某大学病院での手術(入院5日)
194,907円
※高額医療費は控除してません
※差額ベッド代は含んでいません(約5万円でした)

手術後補助療法決定まで+投薬(通院2回)
4,320円
※Oncotype DXは含んでいません

手術をした某大学病院での放射線治療+投薬+フォローアップ(治療のための通院26回、フォローアップのための通院3回)
170,263円
※高額医療費は控除してません

クリニックでの内分泌(ホルモン)療法+投薬+定期検査(通院3回)
101,620円

総合計
538,450円

●控除と付加給金
高額療養費(2回)
108,197円(手術)
24,673円(放射線治療)

組合健康保険からの付加給付金(7回)
206,538円

総合計
339,408円

●実際に支払った医療費
199,042円

というわけで、20万円以下だった。
この金額で所得税減額を申告する予定。
安くもないが、目ん玉が飛び出るほど高いというわけでもないというところで、やはり、何よりも大きかったのは、組合健康保険からの付加給金。これは本当に大きい。会社を辞めると、この付加給付金がもらえないので(国民健康保険にはないので)、何が何でも仕事を辞めるわけにいかない……。

詳しい内訳などは、こちらにある。
その他つらつら思うことはMore以降で!


つーかですね、実はこのblogで一番人気がある記事は
・高額療養費についてのこちら
・がん保険についてのこちら

なのですよ!
いや、ほんとにお金のこと、ものすごく不安ですよね……。
がんになったことに対する恐怖の次に襲って来たのは、「いったい、治療費をきちんと支払えるのか、私?」ってことでした。乳がんと診断されてからは、古くからのとある友人に散々「私、乳がんになった……(涙)、お金ない……(涙)、どうしよう……(涙)」と、乳がんになったことで気持ちがどん底の状態でお金について訴えていたので、二重にうっとうしかったと思うのですが(笑)、いや、本当にですね、お金の切れ目が治療の切れ目なんじゃないかと、今でも思っています(だったら、旅行に行くのは辞めろ!ってとこでしょうか……いや、それは無理です)。

みなさんがお金のことをとても気にされているってわかるんですが、実際、このあたりの詳しい話って診察時に説明されないものなんじゃないかと思います(私の場合はそれ以外のことをボンボンに問いつめていたというのもあり……お金の話もしておくべきだった!)。私の場合は、いわゆる抗がん剤を使った化学療法は受けても利益がないという診断があり、HER2に関しては陰性なので分子標的療法は行われませんし、部分切除のため乳房再建も行っていないので、そのあたりのお金の話はあまりよくわからないのですが、いわゆる標準治療を受ける上で、以下の内容で実際にかかった金額というのは、ほぼ書き尽くしたつもりです。

・針生検による確定診断
・PET/CT+MRIによる遠隔転移+切除範囲の検査
・部分切除術+センチネルリンパ節生検
・放射線治療
・閉経前の内分泌(ホルモン)治療

それと、金額はちょっと書けないのですが、自由診療としての多重遺伝子診断(特にOncotype DX)の概要に関しても、私が知りたかったことを調べて、それをまとめてみました。このあたりも、あまり知られていないことが多い(というか、実際にそこまで先生は説明してくれるほど時間をとってはくれない)ので、実際に自分が受けると決めてからは、知りたいことについては、調べ尽くしたつもりです。

てなわけで、お金はやっぱり大事なのですよ!


2014年1月7日火曜日

ホルモン療法で使われる薬剤の一般名と商品名

「標準治療とは」の続きを書こうと思いつつ、まずはホルモン療法(内分泌療法)で使用する薬剤についてのちょっとしたメモを先に。

乳がんになってから初めて、医薬品には「一般名」と「商品名」があるということを知った。医薬品には薬効成分となる化学物質の名前や分類、国際的に使用できるとして定められた一般名 (generic name) 、そして会社の独自性を表し付けられた商品名としての名前がある。

乳がんのホルモン療法で利用される薬剤には、大きく分けて4種類(そのうち黄体ホルモン薬は、ホルモン療法で使用する他の薬剤が効かなくなってしまった進行再発乳がんで使われることが多い)あり、それぞれの分類においてもいくつかの種類がある。以下は、文頭の●は分類、青字は一般名、赤字は商品名例(先発の薬剤にしておいた)。あと、英語も知っておくと実は便利なので、一応併記しておく。

●LH-RHアゴニスト製剤(LH-RH agonist)
酢酸ゴセレリン ゾラデックス
Goserelin Acetate Zoladex

酢酸リュープロレリン リュープリン
Leuprorelin Acetate Leuplin
●アロマターゼ阻害薬(Aromatase Inhibitor)
アナストロゾール アリミデックス
Anastrozole Arimidex

エキセメスタン アロマシン
Exemestane Aromasin

レトロゾール フェマーラ
Letrozole Femara

●抗エストロゲン薬(Selective Estrogen Receptor Modulator/SERM)
タモキシフェン ノルバデックス
Tamoxifen/TAM Nolvadex

トレミフェン フェアストン
Toremifene/TOR Fareston

●黄体ホルモン薬(Progestogen)
酢酸メドロキシプロゲステロン ヒスロンH
Medroxyprogesterone Acetate  Hysron-H


一般名はどのように使われるのか
一般名をよく目にする機会として挙げられるのが処方箋だ。現在、同じ成分の医薬品であればどのメーカーの商品を調剤しても良いシステムとして一般名処方がある。これは、例えば処方箋に「ノルバデックス」と商品名が書かれている場合、薬局は基本的に「ノルバデックス」を渡すことが多い(最近はジェネリックの希望を訊くことも多いようだけど)。ただし、処方箋に「タモキシフェン」と成分名(一般名)が書かれていれば、一般名処方として、どの銘柄の薬を渡しても良いことになっている。

この一般名処方によって、日本ではジェネリック医薬品の普及率を上げようとしており、メリットとして、医師は処方箋にて一般名処方をすることで保険診療点数を加算でき、薬局側はどのジェネリック薬品も調剤することができるので在庫を減らすことができ、患者側としてもジェネリックを容易に選択することで薬代を安くできることなどが挙げられる。一方デメリットとしては、医師が意図していない薬剤を調剤する可能性や、薬局側としてはどの薬剤を調合したかという医師へのフィードバックが必要になること、患者側としてはジェネリック薬品によって先発薬品との効果に違いが出る可能性があるということなどが挙げられる。

そして、一般名が最も威力を発揮すると個人的に思っているのは検索だ。商品名で検索すると多くは患者さんのBlogなどがヒットしやすいのだが、一般名は全世界共通で使われているもの。いわゆる「情報」を検索したい際には、一般名を使った方が、知りたい情報にたどり着きやすくなり、効率よい検索ができるように感じている。


乳がんになってすぐは、ここで取り上げている医薬品の一般名と商品名にまでは気が回っていなかったのですが、まずわからなかった用語として「ER」「PgR」「HER2」を調べたことを覚えています。針生検みたいなものは、字面からなんとなくわかるんですが、こういうアルファベット表記や、カタカナなどで省略されると、意味にたどり着くのにワンクッション必要になるので、正直面倒だなぁと思ったことを覚えています(このあたりは私の性格的な話ですけど)。

あと、ぱっと見で「はぁ?」と思ったのは「トリネガ」、いわゆる「トリプルネガティブ(Triple Negative Breast Cancer、TNBC)」のことなのですが、最初この単語を見たときは、本当に何を指しているのかまったくわかりませんでした。「これって、『トリガー』の間違いとか~??」みたいなことを思っていたんですが(それも全然ちげーよ!)、その答えは予期せぬものでした。医療関係者の方も使っているものなのかもしれませんが、乳がんになった当初に乳がん患者さんのBlogで「私はトリネガ」「トリネガさん」みたいな使い方(そして「ホルモンヌ」もよく見ますが……それも、うーむ……)をされているのを見たような気がします(最近調べていないのでおぼろげ……)。つか、そもそも「トリネガ」が「トリガー」だったとしたら、まじで意味わからないので、それをまず思いつく私が一番どうかしてると思いますけどー!

病気になってすぐというのは、知識もそれほどないということが多いような気がしますので、略語などから用語を調べるということも自分の病気を知る一環にはなるのかもしれません。それでも、知識を得る際は、まずは正しい情報にあたることが重要であるとも思います。そういった意味では、正しい用語を知っておくというのは大切なことではないでしょうか。

あと、商品名には間違いやすいものもあるようです。こんな通達(PDFです)を見て、どちらも、長期処方されることが多い薬剤のような気がするので、どちらに間違えられても大変だわ……と思った次第。あと、ホルモン療法とは関係ないのですが、トラスツズマブよりは、ハーセプチンの方が音はかわいい感じがする(はぁ?)。

2013年6月17日月曜日

乳がんです。と言われたら3:治療を受ける場所を決める

なんとなく、がんと乳がんのことを知ったならば、次のステップとしては基本的に治療を進めることになるでしょう。知識に関しては、治療を進めるに従ってイヤでも知ることになるので、この時点では、大まかなことがわかっていれば大丈夫だと思います。

「とはいっても、病院ってどこに行けばいいの?
 がんセンターとか、がん研とか、
 もしくは、よく乳がんの話で出てくるS国際病院とか、S大学病院とか、
 そういうところがやっぱりいいの?
 というか、そもそもこれまで病院に入院したことすらないんだけど?」

私もそうでした。

治療を受けるための施設選びは本当に難しく、いまだに私は自分の選択でよかったのかどうかがわかりません。しかし、いくつかの基準から、選択できるのではないかと考えています。

確定診断を受けた場所によって異なってくるとは思うのですが、確定診断を受けた後というのは、恐らく以下のどちらかの状態にいるのではないかと思います。

A 確定診断を受けた施設でそのまま治療を行える
B 確定診断を受けた施設では治療が行えない

Aは、それなりの規模の大きさがある病院やがんセンターのような所で確定診断を受けた場合に相当すると思います。確定診断と同時に、検査や手術の予定が入るかもしれません。その場所で治療をそのまま続けられるという状態です。ただし、施設によっては、このままここで治療を続けるかなど、意向を聞かれることもあるようですし、自分から違う施設で治療を受けたいと望むことももちろん可能です。

Bは、乳腺外科の外来専門クリニックなどで確定診断を受けた場合です。これは施設によっても違うと思うのですが、施設の先生が病院の外来などで患者を診察している場合、その病院を紹介されることもあります。ただし、基本的には、患者個人の希望でその先の治療を受ける施設を選ぶことができることが多いようです。

Aの希望者と、Bの全員は、次に治療を受ける施設を選択することになります。
そして、その先の治療に関しての希望は以下の2つが選択肢になると思います。

A 標準治療を受ける
B 標準治療以外の治療を受ける(受けたい治療方法が決まっている)

今回はAに関して、どのような選択方法があるかというのを考えてみます。


標準治療を受ける場所を探す

がんの治療の基本には「標準治療」が使われることが多いというのは先にも書いているとおりです。大抵の医師からまず示される治療方針も、標準治療にのっとったものになります。標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者に行われることが推奨される治療のことです。

「標準治療を知る」にて、その内容を簡単にまとめていますが、これまでに多くの乳がん患者を対象に行われてきた臨床試験の結果をもとに検討がなされ、現時点で最善である、と専門家の間で合意が得られたものになります。標準治療は1つではなく、患者の乳がんの性質や進行度、年齢や身体状況によって異なります。そして、その標準治療をどう選択していくのかをまとめたものがガイドラインです。施設は標準治療を提供するための設備を整えて患者を受け入れ、診療する医師はガイドラインを参考に、治療方針を示します。

つまり、治療を受ける施設を選ぶにあたっては「施設」と「医師」の2つの側面から考える必要があると言えます。

施設に関して

  • がん診療連携拠点病院を調べる
  • マスコミの情報から調べる
  • 患者会などで口コミを聞く
「がん診療連携拠点病院」とは、質の高いがん医療の全国的な均てん化を図ることを目的に整備された病院のことです。その種類には、各都道府県に置く「都道府県がん診療連携拠点病院」があり、さらに都道府県をいくつかの地域に分け、その地域に置く「地域がん診療連携拠点病院」の2種類があります。例えば東京都には、2か所の都道府県がん診療連携拠点病院と、22か所の地域がん診療連携拠点病院があります。

詳しいがん診療連携拠点病院のリストはこちら(PDFファイルです)。
また、「がん情報サービス」の「病院を探す」からも検索できます(これ、超便利ですよ~)。

まず、このがん診療連携拠点病院に指定されるということは、その病院にて標準治療が提供されているということを意味します。詳しくはこちらを見ていただきたいのですが、指定要件として「集学的治療の提供体制及び標準的治療等の提供」が挙げられてます。つまり、施設を選ぶ際の基準の1つとして使えるはずです。

基本的によく名前が上がる施設は、このがん診療連携拠点病院であることがほとんどです。

ただし、このがん診療連携拠点病院はある一定の基準を満たしているものの、必ずしも「よい施設」というわけではないので、指定されていなくとも治療成績などが良い施設は存在します。そういった施設を拾うのに適しているのが、次に挙げた「マスコミの情報」です。

マスコミの情報としては、日本各地にある施設を独自調査や取材、そして任意のアンケートによりデータをまとめた、出版社などが作るムックがあります。例えば下に挙げるようなもののほかに、週刊誌などでの特集もマスコミの情報と言えるでしょう。



病院の実力 2013 総合編 (YOMIURI SPECIAL 73)
読売新聞東京本社





「乳がん」といわれたら- 乳がんの最適治療 2013~2014 完全版 (日経BPムック)
日経BP社



このようなムックでは、「がん診療連携拠点病院」はもちろん、それ以外の病院の存在そのものを知ったり、実情を知ったりするのに適しています。その他、医師が書いたり、監修したりした、病気に関する解説書籍などもあります。こういったものは、乳がんそのものに関しての理解は得られるかもしれませんが、あまり施設選びには適していないかもしれません。

マスコミの情報で1つ難しいのは、おそらく数字に関してはきちんと調査しているとは思うのですが、それ以外の記事に関する信頼性です。あまりこういうことを書くのはよくないと思いつつ、特にムックの場合は「広告」に近いものが混じっている可能性が高いのではないかと思っています。単なる推測ではあるのですが、例えば、1つの記事の中で複数の病院が紹介されている場合、広告的な内容である可能性は低いと思いますが、「治療方法の紹介」ではなく、「病院」1つを取り上げるような記事の場合は、ちょっと怪しいかなと。実際、「広告」と小さく入っている、まるで通常の記事のような体裁のものもありますし……。まあ、あまり気にすることではないのかもしれませんが、私自身が市販の商業出版物をあまり参考にしない理由はここにあります。


さらに最後の患者会ですが、日本には乳がんに関する患者会が複数あります。私は特にどの患者会にも属していないので、詳しいことは書けないのですが、すでに病院で治療を受けている方の体験談は、施設を選ぶ際にもきっと役立つはずです。特に、施設を選ぶ際にいくつか候補があり、どの施設も同じような水準の場合、非常に悩むかもしれません。そんな場合に、地域に根差した患者会にて、候補とした施設で治療を受けられている方がいらっしゃれば、詳しい話を患者目線で聞くことができるでしょう。それ以外にも、患者同士でしかわからない不安などを相談する先としても、大切な場所になるのだと思います。


医師に関して

  • 認定医・専門医・指導医で選ぶ
  • マスコミの情報から調べる
  • 患者会などで口コミを聞く

医師に関しては、日本乳癌学会の専門医であることを条件にしてよいのではないかと思います。日本乳癌学会は、医師だけでなく、関連施設の認定なども行っているので、これも合わせて確認してみるとよいでしょう。専門医に関しては、がん診察施設連携病院に指定される際の要件になっているようなので、がん診察連携拠点病院であれば、必ず専門医がいることでしょう。ただし、専門医であっても、人間性を認定しているわけじゃないのが、本当に困るんですよね。これはもう、会って話してみて、自分と合うか合わないか、というところに終始してしまうのではないかと思います。また、乳がんは術後10年をかけて予後を見ていくことになるので、できれば、現在は40代ぐらいの先生だと予後も最後まで見てもらえて安心など、選択肢になるのかもしれません。

それ以外に関しては、「施設に関して」と同じ内容なので、施設を医師に読み替えればよいのではないかと思います。そして、日本乳癌学会の専門医でなくても、乳腺専門の医師として優秀な方もいらっしゃるとは思います(ただし、施設に比べるとさらに少ないような気がします……)。また、患者会の方から聞く医師の人柄は、一番参考になりそうな気がするので、施設だけでなく、医師の評判なども口コミで確認してみるというのもよさそうです。ただし、人対人の場合、ある人が思った印象を自分も同じように思うとは限らないというのが難しいところですが……。


というわけで、治療を受ける場所を選ぶ際の基準として考えられるのは、
  • がん診療連携拠点病院から「施設」を選ぶ
  • 日本乳癌学会の専門医から「医師」を選ぶ
  • その他マスコミの情報や患者会での口コミなども参考にする
という、なんとなくまっとうな結論になってしまいましたね。しかし、このエントリーを書こうと思ってちらっと見てびっくりしたのが、がん診療連携拠点病院が院内データとして毎年登録を行っている「がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計」のすごさです。

基本的にがん診療連携拠点病院は、日本における5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)に関する、診断時の病期分類や行った治療方法などを毎年登録しているようなのですが、それを施設ごとに集計したものが公開されているのです。ただし、このデータには術式(温存か全摘か、再建したのか)などが集計されていないため、そのあたりは別途情報に当たらないといけないと思うのですが、この院内がん登録はかなり細かいデータだということを知り、非常に驚きました。どんな病期の人がどれだけ、どの施設で診察や治療を受けているのかというのは、施設を選択するときの参考にできますし、このデータは必見かもしれません。

また、各施設における、ステージごとの5年、10年生存率などに関しては、各施設でほぼ把握しているはずです。なので、公に公表はしていなくても、主治医やその施設の相談支援センターなどで聞けば、大まかな数字は教えてくれるものだと思います。というか、自分が実際に治療を受ける段階になっても、そういう数字を出せない、教えてくれない施設は、ちょっと不安が残るかもしれません。

どうしても標準治療なのか?

基本的に標準治療を選ばれる方が一番多いですし、通常、がん診療連携拠点病院の医師であれば、ファーストチョイスとして示す治療方針はガイドラインなどを参考にした、標準治療に則ったものになるでしょう。ただし、それがすべてではないということも、知っておいてよいと思うのです。つまり、「B 標準治療以外の治療を受ける(受けたい治療方法が決まっている)」を選ぶ場合ですね。

例えば、自分の乳房にどうしても傷を付けたくないのなら、ここでも紹介したとおり、それ相応の治療法はあります。ただし、その治療は標準治療ではないことも多く、受けられる場所も限られますし、臨床試験の段階にあったり、保険適用していない場合は自由診療になります。また、その治療方法にはまだ明確なエビデンスは存在していないに等しく、治療方法のメリット/デメリットも知っておく必要があります。そして、治療費用に関しても高額になる可能性が高いということなども理解したうえで選択するということになるでしょう。

また、ちょっと乱暴な言い方ですが、治療という選択肢があるのなら、無治療という選択肢も私は存在してよいと思っていて、それを尊重してくれる先生というのも必要じゃないかと思っています。なかなかこれは探すのが大変そうだとも思いますが……。

そして、何よりも大切なのは、
自分はどの施設で、どんな治療を、どの先生から受けるのかを
自分自身で決めるということです。

2013年4月21日日曜日

外科手術までの費用

手術ってすごいお金がかかるのかなと思ってたのですが、思っていたよりもかかりませんでした……。理由の1つは、先に「健康保険限度額適用認定証」を交付してもらっておいたからです。もちろん、これがなくても、後で健康保険組合から限度額を超えた分は戻ってくるのですが、最初から支払う額が少ない方が絶対にいいです。国民健康保険でももちろん適用されますので、高額医療費がかかりそうな際は、申請しておくことをおすすめします。

●某大学病院にて
入院5日:乳房部分切除(温存)術、センチネルリンパ節生検、麻酔、投薬など(包括診療)
86,710円(108,197円を高額医療費として支払い時に支給)

つまり、この認定証がなければ、20万円近くになったのですが、認定証のおかげで、なんと10万円以下で済みました。日本の医療制度は素晴らしいですね。

あと、差額ベッド代は含んでません。実は、差額ベッド代は上記医療費の半額以上の金額(約5万円)、非常にアホな出費になりました。これが3日の入院だったら……、ボンボンのバイトがなく、術後翌日に退院できていれば……と思わずにはいられません(笑)。温存術+センチネルリンパ節生検陰性でリンパ節廓清をしなかった方は、入院が2泊3日や1泊2日という方も多いようです。病院によっては、入院当日手術、同時再建でも次の日退院とかあるぐらい、乳がんの手術はさっさと病院を追い出されるのが特徴です。

病棟の看護師さんの話では、内臓系だと筋肉を切るのでかなり痛みが強いらしいのですが、乳房の場合は乳腺と脂肪だけなので、痛みはそれほどないとのこと。確かに、手術翌日から病院内を普通通りに歩けてましたから、今思うと、本当に回復は早かったですね。

2013年3月31日日曜日

入院と手術1

入院の前日。実はその日まで台湾に行っていた(え〜!!)。
本当は温泉に行こうと家を出たのだが、なんとなく、そのまま台湾へ。
なんでそんなことをしたのか、ここでは説明する気はないが、まあ、私はそれぐらい台湾が好きなんで、それはそれでいいとして。

結局入院する部屋は、希望していた差額ベッド(特別療養環境室)代がかからない大部屋は空いておらず、2人部屋になった。この話は、入院前の診察の際に決まっていたことなんだけど、そこでボンボンの発言があまりにも失礼すぎて笑ってしまった。

私「はぁ、2人部屋ですか。同室の方とは上手くやっていけるでしょうか?」(←こんなことを聞く私がそもそも間違っていると、今更気がついた)
先生「大丈夫ですよ。気性の荒い方なんていませんから」(←気性が荒いって、その単語はいったいどこから来た。私の気性が荒いということを言いたいのか?)
私「(無視)同室の方は、同じ病気ですか?」
先生「そうですよ。乳がん部屋ですから。あ、同室の方はもちろん女性です」
��「乳がん部屋」ってなんだそれは……。同室が男性なわけないだろうが)
私「はぁ、乳がん部屋ですか。ところで、男性も乳がんになるんですよねぇ?」(←もうどうでもよくなった)
先生「そうそう、たまーになりますよ」(←おまえがなってしまえ!)

というわけで、私は気性が荒くない女性が同室の、乳がん部屋に入院することになったのです。

こんな失礼な発言ばかりしてたら、他の私よりもお年の患者は卒倒しちゃうんじゃないかしら、という話を知人にしたところ、年齢が上がってくると、女性というのは年下の男の言うことなんて、いちいち気にしないんじゃないの、大体男性なんて失礼なことをよく言うものだという回答をもらって、なるほどと思ったのでした。

私はたぶん、ボンボンが受け持っている患者の中では比較的若い方なんじゃないか(日本での乳がん患者は、30代まではかなり少なく、40代から爆発的に増えます。35歳以下での発病は若年性乳がんと呼ばれ、再発リスクの1つにもなるのですが、私の場合、一応そこはクリアしてる感じですw)、まだ悟りきれてないからいちいちカリカリしちゃうんだろうなぁと、もっと大らかな心を持って接していかないと、自分の神経も疲れちゃうなーと思ったのでした。いや、本当にボンボンは常にオドオドしているかつ、うっかり発言が多すぎるんですよ。診療自体に何か悪いところがあるとは思わないんですけどね。まあ、そのギャップが面白いというのもありますけど。

しかし、このボンボンは本当に腕利きなのかなーというのは、常に思ってることでもあります。ただ、個人的な見解として、この先生と共に治療を進めていきたいと思ったことがあった、というのも事実です。そのあたりは次回にでも。

ちなみに、後日談ですが、同室の方(恐らく、娘さんが20代後半なので、50代ぐらい。乳がんですが、気性は全然荒くなかったですw)と退院のときにちょっと話したところ、主治医の先生の話になりました。基本的に私が診療を受けている大学病院の乳腺外科は入院中は乳腺外科医の先生全員が1つのチームとなって患者を見るので、どの先生とも面識ができますし、症例自体も共有されています。で、ボンボンの話をしたら「●●先生って、あの坊ちゃんね♪」と、年上の貫禄を感じました。私もこうならねば……。

2013年3月6日水曜日

「標準治療」とは1:TNM分類

乳がんだけでなく、がんの治療の基本には「標準治療」が使われる。標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者に行われることが推奨される治療の総称だ。

よく、「最先端の治療」などがメディアで紹介されることがあるが、最先端だから最も優れているというわけではない。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明されれば、「標準治療」として組み込まれることになるが、それまでは標準治療とはみなされない。

もちろん、標準治療以外の方法を選ぶこともできるが、強い理由がない限りは、基本的に標準治療を選ぶことになるだろう。乳がんの場合の標準治療は、病期(ステージ)にもよるが大抵は次の3つがセットになる。

・外科的手術
・放射線治療
・ホルモン療法、化学療法、分子標的療法
(上記の3つは全身療法であり、これらの内容はがん細胞増殖に関係する因子の出現や、がんの種類によって変わる)


これらの治療に入る前に、まずは病期(ステージ)を確定しなければ、治療は進められない。すでにいくつか病期(ステージ)に関する内容をエントリー内で書いてきたが、改めてその内容を記してみたい。

・TNM分類

乳がんの「進行度」の指標、つまりその人の乳がんがまだ早い状態なのか、もう手後れに近い状態なのかをいくつかの段階に分けて示す指標が「病期(ステージ)」だ。手術前の臨床診断結果で病期(ステージ)を推定しておき、手術後の病理診断結果を持って確定することが多い。そして、病期(ステージ)を示す際に1番よく使われる分類が「TNM分類」である。

Tとは乳がんの腫瘤(Tumor)のことで、Nはリンパ節(Node)の転移のこと、Mは遠隔部(肺、骨など)の転移(Metastasis)のこと。そしてこのT、N、Mの組み合わせにより、病気の進行度を表す。

・TはT0~T4までの5段階
・NはN0~N3までの5段階
・MはM0とM1の2段階

前回のエントリーで「T1N0M0=ステージ1」だとか「T3N2M0=ステージ3」だとかとちょっと書いたんだけど、次の表を見てもらえば、病期(ステージ)が同じでも、TNMの組み合わせは異なることがあるというのが、わかってもらえると思う。乳がんでは、このTNMを使って病期(ステージ)を表すことがほとんどだ。ちなみに、手術後の病理診断結果によって確定したTNM分類は、Tの前に小文字のp(pathologic=病理学的)を入れて、pT1N0M0などと表記することもあるらしい(NCCN=全米がん情報ネットワークのガイドラインより)。



実際のところ、ほんの1ヶ月前までは、まさか自分ががんになるなんて、思ったことはなかった。そのうちあるかも、というのはあったけど、現実味を帯びた考えではなかった。そもそも、女性の20~16人に1人の割合で乳がんは発症するといわれているので、生涯乳がんにならない女性の方が多いのだから。
なのに、「なぜ私が?」というのは、私もそうだし、恐らく乳がんになった誰もが思っていることだろう。
知人などに、乳がんの話をすると、「初期なら乳房を手術しなくても大丈夫なんでしょ?」といわれることがある。私も実際、そんな感じだった。腹腔鏡みたいな手術とかもできるんじゃないの?とか、薬である程度治ったりするんじゃないのかって。それは、まったく違っていた。徹底的に違っていたのだ。
次回からは数回に分けて、標準治療のそれぞれについて、今回説明した病期(ステージ)と乳がんの種類、がん細胞の増殖などに関連する因子などとともに、紐解いていく。

2013年2月27日水曜日

診察と検査1

乳がんの診断をしてくれたクリニックは、診断にて終わりになる。
次は、全身の検査を行ったり、手術をしたりするために、病院施設に行く。

私が選んだクリニックでは、基本的に次のステップは患者個人が決める。
ただ、私個人としては、どの病院に行けばよいのかがわからなかったのでクリニックの先生に意見を仰いだ。

今住んでいる場所と勤務地を話すと、通いやすそうかつ、先生もよく知っている腕利き(らしい←伝聞なので真相はわからない)の乳腺外科医がいる病院をいくつか紹介してくれたので、その場で決めると、その乳腺外科医に直接電話をしてくれ、次の診療の予約を取ってくれた。

ちなみに、このクリニックの先生はかなりクセがあるとは思うけど、私は行ってよかったと思っている。乳がんの告知はあっさりしていたが、突き放しているわけではなく、1時間以上説明などに費やしてくれた。半分以上は、私の珍しい乳がんについての説明だったのだが、残りは先生の診断に関してのあれこれ。中でも心に残ったのは次の内容。

「患者の命を救うために、医者をやっているわけではない。ハッキリ言って、そんな想いは医者になって2年ぐらいで消えた。今、なぜ医者をやっているかと言えば、それは趣味だから。自分の趣味は、乳がんに関する検診と診断なので、その分野において趣味を追求することで、結果として非常に高い精度の診断や検査を提供できているという自負がある」

色々と意見はありそうだが、この考え方も一理あるなと思った。日本では、乳がん検診は結構適当に行われているというのが現実らしく、このクリニックの先生は、そういった現実に対して警笛をずっとならし続けている。なので、患者の命うんぬんの発言は恐らく詭弁だろうし、患者不在の検診と診断をやっているわけではもちろんない。患者に対しても、とても誠実で分かりやすい説明をしてくれる。ただ、同情というのは一切なかった。淡々と私の乳がんの特徴と、起こりうる最悪の状態をすべて説明してくれた。だけど、こういうドライな先生というのは、好みが分かれそう……もっと優しく話してほしい、とかね。

なんとなく他人事のような言い方だけど、私のようにちょっと特殊な乳がんを発見できたということがこの先生のモチベーションやプライドにつながり、さらに趣味へのめりこむための触媒になってくれればうれしい。私のような珍しい乳がんを、今後も1人でも多く早い段階で発見してくれますように。

そして、私の乳がんは、やはりこのクリニックに行ったから見つかったようだ。次に訪れた大学病院の先生の第一声。「よく、この状態で見つかりましたね。見落とされてもおかしくないですよ。ああ、●●先生のご紹介なんですね。精密検査にこのクリニックを選んで正解でしたね」と。
そうだったのか!